株式会社スリーエーコンサルティング

2024年10月16日

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」とは?企業の取り組み事例も紹介

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、持続可能な開発を実現するために、国や企業、団体が協力し合うことを目的としています。世界が抱える複雑な問題を解決するためには、あらゆるレベルの主体が協力することが不可欠です。

企業に対しても、様々なステークホルダーと連携し、持続可能な社会の実現に貢献することが求められています。

1.SDGsとは?

SDGsとは、国連に加盟する全193か国が達成を目指す国際目標のことです。Sustainable Development Goalsの略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。

経済、社会、環境の3つの側面にまたがり、持続可能な社会の実現を目指しています。「誰ひとり取り残さない」を基本理念に、17の目標と169のターゲットから構成されています。



2.SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を簡単に解説

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、多様な利害関係者と協力し、社会問題を解決することを目指しています。

具体的には、以下のような課題を解決することを目指しています。

  1. 公的資金の動員
    開発途上国への国際的な資金支援の促進を目指します。
  2. 民間資金の活用
    企業からの投資を促進し、持続可能な開発にむけた資金を調達します。
  3. 技術の開発と拡散
    開発途上国へ技術を移転し、環境に配慮した技術の開発を促進します。
  4. イノベーションの拡大
    後発開発途上国のために技術およびイノベーションを運用します。
  5. 公正な貿易体制の構築
    世界貿易機関を通じて、開発途上国の市場アクセスを改善します。
  6. 貿易能力の強化
    国際市場での競争力を高めるために、開発途上国の貿易能力を向上させます。
  7. 制作の一貫性の確保
    各国の政府が持続可能な開発目標の達成に向けて一貫性を強化します。
  8. データの分析と説明責任
    質の高いデータの収集を行い、SDGsの進捗状況の透明性を確保します。

そして、この「パートナーシップで目標を達成しよう」という目標には、19のターゲットが設定されています。

【資金】

17.1課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。

17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。

17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。

17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。

17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。

【技術】

17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。

17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。

17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。

【能力構築】

17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。

【貿易】

17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。

17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。

17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。

【体制面】

17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。

17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。

17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。

【マルチステークホルダー・パートナーシップ】

17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。

17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

【データ、モニタリング、説明責任】

17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。

17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

引用:Global Partnerships – United Nations Sustainable Development(国連公式サイト)

 

3.SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」における日本の課題とは?

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関する日本の主な課題として、以下の点が挙げられます。

  1. 多様なステークホルダーとの連携不足
    日本国内の企業だけに留まらず、国外の企業やNGO、政府機関などとの連携を強化し、持続可能な開発に向けたパートナーシップを促進する必要があります。
  2. 開発途上国に向けた資金調達の問題
    日本国内外での公的資金や民間資金の調達を強化し、開発途上国に向けた持続可能なプロジェクトへの投資を促進することが重要です。
  3. 技術革新や知識の共有不足

日本は先進的な技術を持つ国として、他国と協力しながら技術開発や知識を共有するプラットフォームの構築を行うことが求められます。

これらの課題に対処するためには、国内外の多様なパートナーとの連携を強化し、開発途上国への資金調達を促進し、技術と知識の共有を進めることが必要です。

4.どのような企業が対象となるのか?

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、特定の業種や企業に限定されるものではなく、SDGsに取り組むすべての企業が対象となります。この目標は、多様な利害関係者と協力し、社会問題を解決することを目指しており、企業がその実現に向けて貢献することが期待されています。

特に、グローバルな影響力を持つ多国籍企業や技術開発を通じて解決策を提供するスタートアップ企業との関連性が高いですが、この目標はそれらに限られません。

地域社会に密着した日本の中小企業であっても、地域の持続可能な発展に貢献するために、他の企業や非営利団体、公共機関と協力し、この目標に貢献することができます。そのため、企業規模や業種に問わず、すべての企業がこの目標に取り組むことが求められています。

5.企業の具体的な取り組み事例7選

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連して、企業ができる具体的な取り組み事例を以下に紹介します。

  1. ①共同プロジェクトの推進
    他の企業やNGO、政府機関と協力して、共通の目標に向けたプロジェクトを立ち上げる。
    例えば、環境保護や地域社会の支援など。
  2. 知識と技術の共有
    自社の専門知識や技術を他の企業や組織と共有し、相互に学び合うことで、全体の能力を向上させる。
    例えば、持続可能な製品開発のノウハウを共有する。
  3. サプライチェーンの持続可能性向上
    サプライチェーン全体で持続可能な取り組みを推進するために、サプライヤーと協力して環境負荷の低減や労働条件の改善を図る。
  4. 地域社会との連携
    地域のコミュニティや自治体と連携して、地域の課題解決に取り組む。
    例えば、地域の教育支援やインフラ整備など。
  5. グローバルなネットワークの活用
    国際的なネットワークや連携を活用して、グローバルな課題に取り組む。
    例えば、国際的な環境保護団体と協力して気候変動対策を進める。
  6. 従業員のボランティア活動支援
    従業員が地域社会や国際的なプロジェクトにボランティアとして参加することを奨励し、支援する。
    例えば、ボランティア休暇制度の導入。
  7. 透明性と報告の強化
    自社の持続可能な取り組みやパートナーシップの成果を定期的に報告し、透明性を高める。
    例えば、持続可能性レポートの発行。

これらの取り組みは、企業が他の組織やコミュニティと協力し、持続可能な開発目標を達成するための具体的な方法です。

6.私たちにもできる身近な取り組み事例7選

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連して、私たちにもできる身近な取り組み事例を7つ紹介します。

  1. ボランティア活動への参加
    地域の清掃活動や福祉施設でのボランティア活動など、地域社会への貢献活動に参加することで、地域とのパートナーシップを築くことができます。
  2. フェアトレード製品の購入
    フェアトレード製品を選ぶことで、途上国の生産者や労働者の生活を支援し、持続可能なパートナーシップを促進することができます。
  3. 環境保護活動への参加
    地域の緑化活動やリサイクル活動に参加することで、地域社会との協力関係を築きながら、環境保護に貢献することができます。
  4. 地域の小規模事業の支援
    地域の小規模事業や地域産品の購入を通じて、地域経済の活性化に貢献し、地域とのパートナーシップを強化することができます。
  5. 教育支援活動への参加
    地域の学校や教育機関でのボランティア活動や教育支援プログラムに参加することで、教育の普及と地域社会との連携を図ることができます。
  6. 地域イベントへの参加
    地域のイベントやフェスティバルに参加することで、地域の文化や伝統を支援し、地域社会とのつながりを深めることができます。
  7. 情報発信と啓発活動
    SDGsに関する情報をSNSやブログなどで発信し、周囲の人々にSDGsの重要性や取り組み事例を啓発することで、広く社会に影響を与えることができます。

これらの取り組みは、個人や地域社会がSDGsの目標17に貢献するための具体的な方法となります。

7.企業が目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に取り組む上での課題

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に企業が取り組む際の課題をわかりやすく説明します。

  1. コミュニケーションの不足
    企業間や異なるセクター(政府、NGO、地域社会など)との連携を強化するためには、効果的なコミュニケーションが不可欠です。しかし、異なる文化や価値観、業務プロセスを持つ組織間でのコミュニケーションは難しいことが多いです。情報の共有不足や誤解が生じることで、協力がスムーズに進まないことがあります。
  2. リソースの制約
    パートナーシップを構築し、維持するためには時間、資金、人材などのリソースが必要です。特に中小企業やリソースが限られている企業にとっては、これらのリソースを確保することが大きな課題となります。また、パートナーシップの成果がすぐに見えない場合、投資に対する疑念が生じることもあります。
  3. 目標の整合性と利益のバランス
    異なる組織が協力する際、それぞれの目標や利益が必ずしも一致するわけではありません。企業は利益を追求する一方で、社会的な課題解決を目指すNGOや政府機関との間で目標の整合性を取ることが難しい場合があります。これにより、パートナーシップの方向性や優先順位が不明確になり、協力がうまく進まないことがあります。

これらの課題を克服するためには、透明性のあるコミュニケーション、リソースの効率的な配分、そして共通の目標設定が重要です。企業はこれらの課題に対処しながら、持続可能な開発のためのパートナーシップを強化することが求められます。

まとめ

SDGsの目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、持続可能な開発目標を達成するために、政府、企業、市民社会、国際機関などが協力し合うことを促進するものです。

企業は、他の企業やNGO、政府機関と連携し、共通の目標に向けて協力することで、より大きな影響を生み出すことができます。

これらの取り組みを通じて、企業は社会的責任を果たし、持続可能な未来の実現に貢献できるだけでなく、パートナーシップの強化により、企業の信頼性やブランド価値の向上にもつながります。持続可能な開発目標の達成には、全てのステークホルダーが協力し合うことが不可欠です。企業は積極的にパートナーシップを築き、共に持続可能な社会を目指しましょう。

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