2023年7月5日
SDGs認証制度とは?認定や登録との違い、申請について詳しく解説
SDGsの認証制度とは、企業が持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいることを評価し、認証する仕組みのことです。県や市などの自治体や、SDGs関連団体が運営する認証があります。それぞれの認証で、合格の基準や評価方法が異なるため、申請する際は詳細な条件や基準を確認しましょう。
目次
1.そもそもSDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、「持続可能な開発目標」と訳され、国際的な持続可能性に関する目標です。
2015年の国連サミットで採択され、193の国連加盟国が共同で取り組むべき目標として設定されました。
SDGsは、貧困・飢餓の解消や健康・教育の向上、産業や経済成長の促進、気候変動対策、ジェンダー平等、持続可能な都市と社会、海洋や陸上生態系の保護など、広範な分野での課題について、17の目標(Goals)と169のターゲットが設定されています。
SDGsは、現在のグローバルな社会課題を解決し、2030年までに持続可能な世界を創出することを目指しており、各国政府だけでなく、企業や市民団体も含めた多様なステークホルダーが参画し、協力して取り組むべき目標とされています。
2.SDGsの認証制度とは?どこが運営しているの?
SDGsの認証制度は、企業や団体が持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいることを評価し、認証する仕組みです。
これによって、企業が環境や地域社会に対する貢献度をPRしやすくなり、社会的信用を高めることができます。
日本では、県や市などの自治体や、SDGs関連団体が運営する認証や認定があります。
これらは基準や評価方法が異なることがあるため、認証を受ける企業や団体は、詳細な条件や評価基準を検討して選択する必要があります。
しかし、いずれの認証制度も、SDGsの17の目標に対する取り組みが確実に評価されることを目指しています。
ただし、SDGs自体には「認証制度」は存在しません。SDGsは国連が定めた目標であり、単一の団体が管理や認証を行うものではないためです。
3.SDGs認証・登録・宣言の違い
SDGsに関する認証、認定、および登録は、異なる側面があるものの、ある程度の概念的な重複があります。
①認証
認証とは、ある基準に従って、SDGsの取り組みが適切に評価された結果として、第三者機関が付与する証明のことです。認定や登録と比べると難易度が高いことが多いです。
例)横浜市SDGs認証制度”Y-SDGs”、とっとりSDGs企業認証制度
②認定
認定機関によって多少異なりますが、企業がおこなっているSDGsの取り組みを、17あるゴールのどの目標に向かっているかゴールの最適化を行い、認定証の発行をするものです。
例)日本SDGs協会によるSDGs事業認定
③登録
「SDGs達成に向け、具体的な取組を実施している」などといった要件を満たしている企業や団体を登録するものです。登録された企業は、県や市、団体のホームページなどで企業名が公開されます。
例)愛知県SDGs登録制度、福岡県SDGs登録制度、長野県SDGs推進企業登録制度
4.企業がSDGs認証を取得するメリット
(1)客観的な基準によるSDGs活動の評価が受けられる/外部からのイメージ向上
SDGsの認証を取得することで、企業は持続可能な取り組みを行っているという信頼を顧客、取引先、投資家などのステークホルダーに示すことができます。
これにより、企業の評価やイメージが向上し、ビジネスパートナーとの良好な関係を築くことが可能となります。
また、SDGs認証のオリジナルロゴをホームページや名刺などに載せてアピールすることができるようになります。
(2)人材の獲得と従業員のモチベーション向上
SDGsへの取り組みは、求職者や従業員にとっても魅力的であり、企業がSDGs認証を持っていることで、優秀な人材を引き寄せたり、従業員のモチベーション向上に繋がることがあります。
(3)入札のアドバンテージ/競合との差別化
国や地方自治体の調達や、大手企業の入札案件では、SDGsへの取り組みや認証が評価基準として取り入れられることが増えています。
そのため、SDGs認証を取得している企業は、入札で有利になることがあります。
(4)支援が受けられるようになる
SDGsの認証を受けることで、低利率の制度融資や補助金支給の対象となることがあります。また、新規事業につながるビジネスマッチング支援を受けられるようになるケースもあります。
(5)海外市場への展開
持続可能性に関心を持つ国や地域が多いため、SDGsへの取り組みや認証があることで、海外市場への進出や展開がスムーズになることがあります。
5.SDGs認証制度の目的
(1)持続可能な取り組みの評価・認証
企業や組織がSDGsに沿った持続可能な取り組みを行っていることを第三者が評価し、認証することで、その取り組みの透明性や信頼性を高めます。
(2)情報開示
認証を取得することで、企業や組織がSDGsへの取り組みを対外的に発信しやすくなり、情報開示の質が向上します。
(3)優良事例の共有
認証制度を通じて、SDGsに対する優れた取り組みが明らかにされ、それらの事例が共有・普及されることで、さらなる取り組みの拡大が期待されます。
6.申請する際の注意点
(1)認証期間・スケジュール
まず申請の受付期間をチェックしましょう。自治体や機関によっては、「年に1回しか受付期間を設けていない」という認証もありますし、「いつでも申請申し込みができる」という認証もあります。
そして、申請してからどのくらいで認証完了になるものなのか全体のスケジュールも把握しておきましょう。
(2)認証にかかる手数料・審査費用
自治体の運営するSDGs認証は無料ですが、SDGs関連団体が運営する認定は登録料が有料のものもあります。事前に調べて、有料の場合は予算を確保できるか確認しておきましょう。
(3)更新について
ほとんどのSDGs認証において、1~3年に1回書類を提出して更新申請する必要があります。更新があるのか、あるのであれば頻度は何年に1回か確認しておきましょう。
7.SDGsの導入方法「SDGsコンパス」とは?
SDGsコンパスは、企業がSDGsに取り組むための行動指針で、SDGs経営を取り入れるための具体的なステップを示すものです。
世界経済フォーラムや国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所などの国際機関が共同で開発しました。
以下の5つのステップがあります。
①理解する・・・SDGsの意義・目標を理解する
↓
②分析する・・・自社の事業とSDGsの関連性を分析する
↓
③戦略を策定する・・・SDGsの目標を設定し、戦略を決める
↓
④実行する・・・戦略に沿った施策を実行する
↓
⑤報告する・・・行った結果や成果を報告し、議論する
まとめ
SDGsの認証制度は、企業が持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいることを評価し認証する仕組みです。
県や市などの自治体や、SDGs関連団体が運営する認証があります。
SDGs認証を取得することで、客観的な基準によるSDGs活動の評価が受けられ、外部からのイメージ向上が期待できますし、採用や入札で有利になることも考えられます。
申請する際は、それぞれの認証で、合格の基準や評価方法が異なるため、条件や基準を確認しましょう。