株式会社スリーエーコンサルティング

2025年1月14日

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは?企業の具体的な取り組み事例も紹介

1.SDGsとは?

SDGsとは、国連に加盟する全193か国が達成を目指す国際目標のことです。
Sustainable Development Goalsの略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。

経済、社会、環境の3つの側面にまたがり、持続可能な社会の実現を目指しています。
「誰ひとり取り残さない」を基本理念に、17の目標と169のターゲットから構成されています。

2.SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」を簡単に解説




SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」は、すべての人が平等な機会を持ち、差別や不平等をなくすことを目指しています。
これは、経済的、社会的、政治的な不平等を減らし、特に弱い立場にある人々や国々が公平に発展できるようにすることを重視しています。

具体的には、以下のような課題を解決することを目指しています。

①所得格差の是正

国内外での所得格差を縮小し、すべての人が経済成長の恩恵を受けられるようにする。

②社会的包摂の促進

年齢、性別、障害、人種、民族、出身、宗教、経済的地位などに関わらず、すべての人が社会に参加できるようにする。

③移民や難民の支援

移民や難民が直面する不平等を解消し、彼らが新しい社会で平等に生活できるよう支援する。

④政策の公平性

不平等を是正するための政策や法律を整備し、すべての人が平等に扱われる社会を構築する。

⑤国際的な不平等の是正

発展途上国が国際的な意思決定に参加できるようにし、国際的な不平等を減らす。

これらの取り組みを通じて、すべての人が平等に機会を得られる社会を目指しています。

SDGs10には詳細な目標として7つのターゲットとA~Cの具体的な対策を3つ掲げています。

10.1 2030年までに、人口の下位40%の所得増加を段階的に達成し、持続させる。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出身、宗教、経済的地位その他の地位に関わらず、すべての人々のエンパワーメントを図り、社会的、経済的及び政治的包摂を促進する。

10.3 差別的な法律、政策、慣行を撤廃し、この点に関する適切な法律、政策、行動を推進するなどして、機会均等を確保し、結果の不平等を減らす。

10.4 財政、賃金、社会保障政策を中心とした政策を導入し、平等の拡大を段階的に達成する。

10.5 世界の金融市場と金融機関に対する規制と監視を改善し、そのような規制の実施を強化する

10.6 より効果的で信頼性が高く、説明責任のある合法的な制度を実現するために、世界の国際経済・金融機関における意思決定において開発途上国の代表性と発言力を強化する。

10.7 計画的かつ適切に管理された移住政策の実施などを通じて、秩序ある、安全で、規則的かつ責任ある人々の移住と移動を促進する。

10.A 世界貿易機関の協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。

10.B 後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国など、最もニーズが高い国々に対し、各国の国家計画やプログラムに従って、政府開発援助や外国直接投資を含む資金の流れを奨励する。

10.C 2030年までに、移民送金にかかる取引コストを3%未満に削減し、コストが5%を超える送金経路を撤廃する。

引用:国連公式サイト

3.SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」における日本の課題とは?

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」に関する日本の主な課題として、以下の点が挙げられます。

①所得格差と地域間格差の是正

経済成長の中で広がる所得格差や、都市と地方の経済的・社会的格差を縮小し、特に低所得層の生活改善と地方の活性化を図ることが求められています。

②ジェンダー平等と多様性の推進

職場や社会における男女間の不平等を解消し、女性の社会進出や賃金格差の是正を進めるとともに、高齢者や障がい者が社会に参加しやすい環境を整えることが重要です。

③外国人労働者の待遇改善

増加する外国人労働者の労働環境や生活条件を改善し、彼らが安心して働ける社会を構築することが求められています。
これらの課題に対処するためには、政府、企業、市民が協力して政策や取り組みを進めることが求められます。

4.どのような企業が対象となるのか?

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」は、あらゆる業種や規模の企業が対象となります。
例えば以下の通りです。

①製造業

製造業は、サプライチェーン全体での公正な労働条件の確保や、労働者の権利を守ることが求められます。これにより、労働者間の不平等を減らすことができます。

②サービス業

サービス業では、ジェンダー平等や多様性の促進が重要です。
例えば、女性やマイノリティの雇用機会を増やし、賃金格差を是正することで、職場での不平等を減らすことができます。

③IT業界

IT業界は、デジタル技術を活用して教育や医療へのアクセスを改善し、地域間や国間の不平等を減らすことができます。オンラインプラットフォームを通じて、より多くの人々に情報やサービスを提供することが可能です。

これらの取り組みを通じて、企業は不平等の是正に貢献し、持続可能な社会の実現に寄与することができます。

5.企業の具体的な取り組み事例7選

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連して、企業の具体的な取り組み事例を7つ挙げます。

①シニア世代の人材活用

少子高齢化が進む日本では、シニア世代の活用が重要です。彼らは意欲的で時間に融通が利き、人手不足の解消に役立ちます。また、豊富な社会経験を活かして若い世代を指導でき、助成金の利用で人件費の抑制も可能です。

②障がい者の雇用促進

企業が障がい者を雇用することは、経済的な支援だけではなく、やりがいや働く自信をもってもらうことにつながります。また、CSR(社会的責任)を重視している企業であることを内外的に示すことにつながります。
障がい者の直接雇用が難しい企業は、障がい者就労継続支援事業所に相談することができます。

③職場環境の改善

高齢者や障がい者が働きやすい職場環境を整備し、誰もが安心して働けるようにします。

④公正な賃金制度の導入

社員が公平に評価され、適切な賃金が支払われる制度を整えます。

⑤多言語化

訪日客や日本で働く外国人が増える日本においては、わかりやすい情報提供が重要です。解説書だけでなく、QRコードやイラストを活用し、多言語での情報提供を行うことが効果的です。

⑥教育支援プログラムの実施

社員やその家族、地域の子どもたちに対する教育支援を行い、学びの機会を提供します。これにより、学びの機会を提供し、将来の就業機会を増やすことができます。

⑦サプライチェーンの見直し

海外の取引先においても労働環境や賃金が適正であるかを確認し、改善を促します。海外の取引先の労働環境や賃金が適正であることを確認し改善を促すことで、労働者の権利が守られ、不平等の是正に貢献できます。

これらの取り組みは、企業の規模や業種に関わらず実施可能であり、社会全体の不平等を減らすことに貢献します。

6.私たちにもできる身近な取り組み事例7選

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連して、私たちにもできる身近な取り組み事例を7つ紹介します。

①寄付やクラウドファンディング

貧困や教育支援を目的とした団体に対する寄付やクラウドファンディングを行うことで、経済的支援を行うことができます。

②フェアトレード商品を購入

フェアトレード認証を受けた商品を購入することで、発展途上国の生産者の支援につながります。

③情報格差の解消

情報格差が所得格差につながるため、デジタルリテラシー教育を推進することで、インターネットやデジタル技術を活用する能力を高めることができます。

④多様性を尊重する

職場や学校で異なる背景を持つ人々を尊重し、偏見や差別をなくすよう心がけることで、職場や学校で異なる背景を持つ人々が安心して自分らしく過ごせる環境が生まれ、創造性や協力が促進され、より豊かなコミュニティが形成されます。

⑤ボランティア活動に参加

地域の支援団体やNPOでのボランティア活動を通じて、社会的弱者を支援することで、地域社会の絆が強まり、支援を必要とする人々の生活が改善されるとともに、参加者自身も多様な視点を学び、社会貢献の意識が高まります。

⑥寄付を行う

不平等を解消するための活動を行っている団体に寄付をすることで、資金面での支援を通じて、社会的弱者の支援や不平等の是正に貢献できます。

⑦公共政策への参加

地域の政策決定に参加し、不平等を減らすための意見を提案することで、地域社会の課題解決に向けた具体的な変化を促し、より公平な社会の実現に寄与できます。

これらの取り組みを通じて、私たち一人ひとりが不平等の解消に貢献することができます。

7.企業がSDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」に取組む上での課題

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」に取り組む上での課題は以下の通りです。

①所得格差の解消

所得格差を減らすためには、低所得者層の収入を増やす必要があります。しかし、これには企業の努力だけではなく経済政策や雇用機会の創出など、長期的な取り組みが必要です。
例: 最低賃金の引き上げや、教育・職業訓練の提供など。

②情報格差の解消

情報へのアクセスが限られている人々に対して、インターネットや教育の機会を提供することが重要です。情報格差があると、就職や教育の機会が不平等になります。
例: 無料のインターネットアクセスや、オンライン教育プログラムの提供。

③社会的包摂の推進

障がい者や高齢者、外国人など、社会的に弱い立場にある人々が平等に参加できる社会を作ることが求められます。これには、バリアフリーの環境整備や、多言語対応のサービス提供が含まれます。
例: 公共施設のバリアフリー化や、外国語対応の窓口設置。

これらの課題を克服するためには、政府、企業、地域社会が協力して包括的なアプローチを取ることが重要です。

まとめ

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」に取り組む企業は、まず多様な人材の採用と育成を進めています。また、公正な賃金制度を導入し、所得格差の是正に努めています。さらに、地域社会への貢献活動や教育支援を通じて、社会全体の平等を促進しています。これらの取り組みは、企業の持続可能な成長につながります。
これらの取り組みを通じて、私たち一人ひとりが不平等の解消に向けた行動を起こし、より公正で包摂的な社会を築いていきましょう。

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