
2025年4月18日
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」とは?企業の具体的な取り組み事例も紹介
目次
1.SDGsとは?

SDGsとは、国連に加盟する全193か国が達成を目指す国際目標のことです。
Sustainable Development Goalsの略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。
経済、社会、環境の3つの側面にまたがり、持続可能な社会の実現を目指しています。
「誰ひとり取り残さない」を基本理念に、17の目標と169のターゲットから構成されています。
2.SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」を簡単に解説
SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」は、持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進することです。具体的には、以下のような課題を解決することを目指しています。
①インフラの整備と改善
交通、エネルギー、水供給などの基本的なインフラを整備し、特に発展途上国におけるインフラの質とアクセスを向上させる。
②持続可能な産業化の促進
環境に配慮した生産プロセスを導入し、資源効率を高めることで、持続可能な産業の発展を支援する。
③技術革新と研究開発の推進
科学技術の研究開発を支援し、イノベーションを促進することで、経済成長と社会の発展を実現する。
④中小企業の支援
中小企業の成長を支援し、特に発展途上国における中小企業の競争力を強化する。
⑤情報通信技術(ICT)の普及
インターネットやモバイル技術などの情報通信技術の普及を促進し、これらを使える人と使えない人の間にある格差を解消する。
⑥産業の多様化と価値の向上
産業の多様化を図り、付加価値の高い産業を育成することで、経済の安定と成長を目指す。
これらの取り組みを通じて、持続可能な経済成長と社会の発展を実現し、全ての人々が恩恵を受けられるような基盤を作ることが目標です。
そして、この「産業と技術革新の基盤を作ろう」という目標には、5つのターゲットとaからcまでの具体的な対策が3つ設定されています。
9.1 すべての人々が安価で公平にアクセスできることを重視し、経済発展と人間の福祉を支えるために、地域・国境を越えたインフラを含む、質の高い、信頼性が高く、持続可能で強靱なインフラを開発する。
9.2 包摂的かつ持続可能な工業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用と国内総生産に占める工業の割合を大幅に増加させ、後発開発途上国ではその割合を倍増させる。
9.3 特に開発途上国における小規模工業企業やその他の企業の、手頃な融資を含む金融サービスへのアクセスとバリューチェーンや市場への統合を拡大する。
9.4 2030年までに、すべての国がそれぞれの能力に応じた対策を講じ、資源利用の効率化とクリーン技術および環境に配慮した技術や産業プロセスの導入拡大を通じたインフラの改善や産業の改修を行い、持続可能なものとなるよう支援する。
9.5 2030年までにイノベーションを奨励し、100万人当たりの研究開発従事者数と公的および民間の研究開発費を大幅に増加させるなど、すべての国、特に開発途上国における科学研究を強化し、産業部門の技術力を向上させる。
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国に対する財政的、技術的、技術的支援の強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱なインフラ開発を促進する18
9.b 開発途上国における国内の技術開発、研究、イノベーションを支援する。これには、とりわけ産業の多様化や商品の付加価値向上に資する政策環境の確保が含まれる。
9.c 情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに後発開発途上国におけるインターネットへの普遍的かつ安価なアクセスの提供に努める。
引用:国連公式サイト
3.SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」における日本の課題とは?
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に関する日本の主な課題として、以下の点が挙げられます。
①インフラの老朽化と災害への脆弱性
高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化が進み、維持管理や更新が急務です。また、地震や台風などの自然災害が頻発する日本では、インフラの強靭化や迅速な復旧が求められています。特に地方や中山間地域では、インフラ整備の遅れや都市部との格差が課題です。
②技術革新の遅れとデジタル格差
日本の研究開発投資の伸び悩みや、中小企業・地方でのデジタル化の遅れがイノベーション創出を妨げています。AIやIoTなど先端技術の導入が進まず、産業競争力の低下が懸念されています。また、都市部と地方、所得層間でのインターネット普及率や情報リテラシーの差が、教育や就労機会の不平等を生んでいます。
③災害や地政学リスクに対するサプライチェーンとライフラインの脆弱性
災害時には電力や通信などのライフラインが寸断され、復旧に時間を要するケースが多く見られます。また、グローバル化が進む中で、特定の国や地域に依存したサプライチェーンは、災害や地政学的リスクに対して脆弱であり、強靭で持続可能な仕組みの構築が必要です。
4.どのような企業が対象となるのか?
SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に関連する企業は、どんな企業でもこの目標に関連する取り組みを行うことが可能ですが、以下の3業種について具体的に関連する内容をご紹介します。
①製造業
製造業は技術革新の中心的な役割を果たします。新しい製品や製造プロセスの開発を通じて、持続可能な産業基盤を構築することが求められます。
②IT企業
情報技術の進展は、産業の効率化や新しいビジネスモデルの創出に寄与します。クラウドコンピューティング、AI、IoTなどの技術を活用して、産業の基盤を強化することができます。
③建設業
インフラの整備や都市開発を通じて、持続可能な産業基盤を支える役割を果たします。特に、環境に配慮した建設技術や資材の使用が求められます。
新しいアイデアや技術を持つスタートアップは、産業の革新を推進する重要な存在です。特に、環境技術や社会課題解決型のビジネスモデルを持つ企業が注目されています。
これらの企業は、それぞれの分野で技術革新や持続可能な産業基盤の構築に貢献することができます。どんな企業でも、自社の強みを活かしてSDGs目標9に関連する取り組みを行うことが可能です。
5.企業の具体的な取り組み事例7選
SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に関連して、企業ができる具体的な取り組み事例を以下に紹介します。
①環境負荷の低い建設技術・素材の導入
低炭素コンクリートや再生可能資源を活用した建材を使用することで、建設時の環境負荷を軽減します。
②スマートインフラの導入
IoTセンサーを活用したインフラのモニタリングを行うことで、運用コストを削減し、効率的な維持管理を実現します。
③デジタル技術の活用
AIやIoTを活用してサプライチェーンを最適化することで、生産性を向上させ、業務効率化を図ります。
④中小企業・零細企業の技術力向上支援
技術指導やデジタル化支援を行うことで、中小企業の生産性を向上させ、新たなビジネス機会を創出します。
⑤フェアな労働環境の整備
安全で健康的な職場環境を提供することで、従業員の働きがいを向上させ、企業全体の生産性を高めます。
⑥地域社会との連携
地元の資源や技術を活用することで、新たな産業を創出し、地域雇用を促進します。
⑦情報セキュリティ対策の強化
社内ネットワークの安定化やセキュリティ体制を整備することで、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクを低減します。
これらの取り組みを通じて、企業は持続可能な産業基盤の構築と技術革新の推進に寄与することができます。
6.私たちにもできる身近な取り組み事例7選
SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に関連して、私たちにもできる身近な取り組み事例を3つ紹介します。
①リサイクルの推進
家庭でのリサイクルを徹底し、資源の無駄を減らすことで、持続可能な産業基盤を支援します。
②地元産品の購入
地元の製品やサービスを積極的に利用することで、地域経済の活性化と持続可能な産業の発展に貢献します。
③エネルギー効率の向上
家庭でのエネルギー消費を見直し、省エネ家電の使用や節電を心がけることで、持続可能なエネルギー基盤を支援します。
④技術教育の支援
地域の技術教育プログラムやワークショップに参加したり、支援することで、次世代の技術者育成に貢献します。
⑤デジタルリテラシーの向上
自身や家族のデジタルリテラシーを向上させるための学習を行い、技術革新の恩恵を受けやすくします。
⑥持続可能な交通手段の利用
公共交通機関や自転車、徒歩などの持続可能な交通手段を利用することで、環境負荷を減らし、持続可能なインフラを支援します。
⑦コミュニティ活動への参加
地域の技術革新や産業振興に関するコミュニティ活動やプロジェクトに参加し、地域の持続可能な発展に貢献します。
これらの取り組みを通じて、私たち一人ひとりがSDGs目標9の達成に向けて貢献することができます。
7.企業がSDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に取り組む上での課題
SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」に企業が取り組む際の課題をわかりやすく説明します。
①技術革新の促進
技術の迅速な進歩に対応するために、企業は継続的な研究開発や革新的な取り組みを行う必要があります。
②持続可能なインフラ整備
新たな技術やイノベーションを導入するためには、適切なインフラが必要です。企業は持続可能なインフラ整備に取り組む必要があります。
③スキルや人材の育成
技術革新に対応するためには、適切なスキルや知識を持った人材が必要です。企業は従業員のスキルアップや教育に投資することが求められます。
これらの取り組みを通じて、企業は持続可能な成長を実現し、社会全体の発展に貢献することが期待されます。また、これらの課題に積極的に取り組むことで、企業の競争力向上や信頼性の強化にもつながります。
まとめ
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」は、技術革新や持続可能なインフラ整備を通じて、持続可能な社会を目指す重要な目標です。企業にとって、この目標への取り組みは、社会的責任を果たすだけでなく、製造業、建設業、IT・通信業などでエネルギー効率化や技術活用を通じたコスト削減、競争力向上、新たな事業機会の創出が期待できます。
どの業界でも、自社の強みを活かして目標9に貢献する方法を見つけることが重要です。これにより、企業は持続可能な未来の実現に寄与しつつ、競争力の向上や新たなビジネスチャンスを得ることができます。
SDGs目標9への取り組みは、単なる社会貢献ではなく、企業の成長戦略の一環として捉えるべきです。今こそ、持続可能な未来に向けて行動を起こしましょう。