2024年11月28日
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?企業の取り組み事例も紹介
SDGs(持続可能な開発目標)の目標13「気候変動に具体的な対策を」は、気候変動とその影響に対処するための具体的な行動促進を目指しています。
目標13に企業が取り組むことで、持続可能な経営の実現、環境負荷の低減やエネルギーコストの削減、企業価値の向上につながります。
目次
1.SDGsとは?
SDGsとは、国連に加盟する全193か国が達成を目指す国際目標のことです。
Sustainable Development Goalsの略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。
経済、社会、環境の3つの側面にまたがり、持続可能な社会の実現を目指しています。「誰ひとり取り残さない」を基本理念に、17の目標と169のターゲットから構成されています。
2.SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」を簡単に解説
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」は、気候変動とその影響に対処するための具体的な行動を促進することを目指しています。
気候変動とは、地球の気候が長期的に変化することです。例えば、温暖化や極端な気象現象などが含まれます。
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」について具体的には、以下のような課題を解決することを目指しています。
①温室効果ガスの削減
二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などの温室効果ガスの排出を削減するための対策を講じること。
再生可能エネルギーの利用拡大やエネルギー効率の向上を推進すること。
②気候変動への適応
気候変動の影響を受けやすい地域やコミュニティが、気候変動に適応するための支援を受けられるようにすること。
洪水や干ばつなどの自然災害に対する防災対策を強化すること。
③気候変動に関する教育と意識向上
気候変動に関する知識を普及させ、一般市民や企業が気候変動の影響を理解し、行動を起こすよう促すこと。
学校教育や公共キャンペーンを通じて、気候変動に対する意識を高めること。
④国際協力の強化
気候変動に対する国際的な協力を強化し、先進国と発展途上国が協力して気候変動対策を進めること。
気候変動に関する技術や資金の提供を通じて、発展途上国の気候変動対策を支援すること。
⑤持続可能な都市とコミュニティの構築
都市のインフラを気候変動に強いものにするための取り組みを進めること。
持続可能な交通システムやエコロジカルな建築物の普及を促進すること。
これらの課題に取り組むことで、気候変動の影響を最小限に抑え、持続可能な未来を築くことを目指しています。
そして、この「気候変動に具体的な対策を」という目標には、3つのターゲットとAからBまでの具体的な対策が2つ設定されています。
13.1 すべての国において、気候関連の危険や自然災害に対する強靭性と適応能力を強化する
13.2 気候変動対策を国家政策、戦略、計画に統合する
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減、早期警戒に関する教育、意識向上、人的・組織的能力を向上させる
13.A 気候変動に関する国際連合枠組条約の締約国先進国が、2020年までにあらゆる資金源から共同で年間1000億ドルを動員し、意味のある緩和行動と実施の透明性の観点から開発途上国のニーズに対応するという目標を掲げ、資本増強を通じてできるだけ早期に緑の気候基金を全面的に運用するという約束を実行する。
13.B 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における効果的な気候変動関連の計画と管理の能力を高めるメカニズムを推進し、女性、若者、地域コミュニティ、疎外されたコミュニティに焦点を当てる。
*国連気候変動枠組条約が、気候変動に対する地球規模の対応を交渉する主要な国際的な政府間フォーラムであることを認識します。
引用: United Nations Sustainable Development(国連公式サイト)
3.SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」における日本の課題とは?
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に関する日本の主な課題として、以下の点が挙げられます。
①温室効果ガスの削減
日本はエネルギー消費が多く、温室効果ガスの排出量が高い国の一つです。
特に、化石燃料に依存したエネルギー供給体制からの脱却が求められています。
②再生可能エネルギーの普及
再生可能エネルギーの導入が進んでいるものの、まだ十分とは言えません。
太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの利用をさらに拡大する必要があります。
③気候変動への適応策
気候変動による自然災害(台風、豪雨、洪水など)の頻発に対する適応策が必要です。
防災インフラの整備や、農業・漁業などの産業への影響を最小限に抑えるための対策が求められます。
④国民の意識向上と行動変容
気候変動問題に対する国民の理解と意識を高め、日常生活やビジネスにおける行動変容を促すことが重要です。
教育や啓発活動を通じて、持続可能なライフスタイルの普及を図る必要があります。
⑤国際協力と技術革新
日本は技術革新を通じて、気候変動対策に貢献することが期待されています。
特に、エネルギー効率の高い技術やクリーンエネルギー技術の開発・普及を進めることが重要です。
これらの課題に対処するためには、政府、企業、地域社会、個人が一体となって取り組むことが必要です。
4.どのような企業が対象となるのか?
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は、すべての企業が対象となります。
大気中の温室効果ガス濃度の上昇が大気温を上昇させ、日本では100年間で1.2℃気温が上がりました。
これにより集中豪雨や干ばつなどの異常気象、海水温上昇による漁獲の異変が引き起こされています。
このように気候変動は地球規模の問題であり、あらゆる業種・業界の企業がその影響を受ける可能性があります。
実際、大手企業では、2027会計年度より、年間売り上げが10億Sドル以上で、総資産が5億ドル以上の非上場の大手企業に対し、気候変動関連の情報開示を義務付けられる計画になっています。
さらに、ISO9001、ISO14001、ISO27001、ISO45001などのマネジメントシステム要求事項にて、気候変動に対して取組むことが新たに追加されました。これは持続可能性を求める世界的な動きと一致しており、業界の環境責任が増大することを意味しています。
以上のことからも、全ての企業が対策を講じることが求められています。
以下、具体的な業種ごとの取り組み例を挙げて説明します。
①製造業
- 生産プロセスでのエネルギー消費を削減するための技術導入やプロセスを改善する。
②建設業
- 建設現場での廃棄物のリサイクルや再利用により廃棄物を削減する。
③サービス業
- オフィスや店舗でのエネルギー消費を最適化する。
- 取引先や仕入れ先の環境対策を評価し、持続可能なサプライチェーンを構築する。
④IT・通信業
- データセンターの冷却システムやサーバーのエネルギー効率を向上する。
- 通勤によるCO2排出を削減するためのリモートワークを導入する。
⑤ 交通・運輸業
- 電気自動車やハイブリッド車を導入する。
- 燃料消費を削減するための技術導入や運行管理をする。
これらの取り組みは、企業の規模や業種に関わらず、気候変動対策として重要です。企業が持続可能な未来を築くためには、全ての業界が協力して具体的な行動を取ることが求められています。
5.企業の具体的な取り組み事例7選
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連して、企業ができる具体的な取り組み事例を以下に紹介します。
①エネルギー効率の向上
省エネ型の照明(LED)や高効率の空調設備を導入することで、エネルギー消費を削減します。
②再生可能エネルギーの利用
自社の建物に太陽光パネルを設置し、太陽光発電を行う。また、再生可能エネルギーを提供する電力会社を選ぶことも有効です。
③電力管理システムの導入
スマートメーターやエネルギー管理システムを導入し、エネルギー使用状況をリアルタイムで監視・管理することで、無駄なエネルギー消費を防ぎます。
④従業員の意識向上
環境教育や研修を通じて、従業員にエネルギー節約や環境保護の重要性を理解させ、日常業務での省エネ行動を促進します。
⑤ペーパーレス化の推進
デジタル化を進め、紙の使用を減らすことで、森林資源の保護とエネルギー消費の削減を図ります。
⑥グリーン調達
環境に配慮した製品やサービスを優先的に調達することで、サプライチェーン全体での環境負荷を軽減します。
⑦カーボンオフセットの実施
自社のCO2排出量を削減するだけでなく、植林活動や再生可能エネルギープロジェクトへの投資を通じて、排出量を相殺する取り組みを行います。
これらの取り組みは、企業が気候変動に対処するための具体的な行動を促進し、持続可能なビジネスモデルの構築に貢献します。
6.私たちにもできる身近な取り組み事例7選
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連して、私たちにもできる身近な取り組み事例を7つ紹介します。
①エネルギーの節約
- 家電製品を使わないときは電源を切りましょう。
スタンバイモードでも電力を消費しているため、電源を切ることで無駄な電力消費を抑えることができます。 - 照明をLEDに変える。
LED照明は従来の白熱電球や蛍光灯に比べてエネルギー効率が高く、消費電力が少ないため、電気代の節約にもつながります。
②再生可能エネルギーの利用
- 自宅に太陽光パネルを設置する。
自宅に太陽光パネルを設置することで、自家発電が可能になり、電力の一部または全てを再生可能エネルギーで賄うことができます。これにより、化石燃料に依存する電力の使用を減らし、二酸化炭素排出量の削減に貢献できます。 - 再生可能エネルギーを提供する電力会社を選ぶ。
③リサイクルとリデュース
- ゴミの分別を徹底し、リサイクルを推進する。
- 使い捨てプラスチック製品の使用を減らす。
- 再利用可能な製品を選ぶ。
④食生活の改善
- 地元で生産された食材を選ぶ。
- 食品ロスを減らすために計画的に食材を購入する。
- 肉の消費を減らし、植物ベースの食事を増やす。
⑤交通手段の見直し
- 自転車や徒歩での移動を増やす。
- 公共交通機関を利用する。
- カープールやカーシェアリングを活用する。
⑥植樹活動への参加
- 地元の植樹活動に参加する。
- 自宅の庭やベランダで植物を育てる。
⑦環境教育と意識向上
- 気候変動に関する情報を学び、周囲の人々と共有する。
- 環境保護に関するイベントやワークショップに参加する。
これらの取り組みを通じて、私たち一人ひとりが気候変動対策に貢献することができます。
7.企業がSDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に取組む上での課題
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に企業が取り組む際の課題をわかりやすく説明します。
①コストがかかる
気候変動対策には、省エネ機器の導入や工場の設備更新などが必要です。
これらの取り組みには初期投資が必要であり、短期的には経費が増えるため、特に中小企業にとっては負 担となることがあります。
②社内の意識改革
従業員全員が気候変動対策の重要性を理解し、日常業務に取り入れるためには、教育や研修が必要で、時間と労力がかかります。
③サプライチェーンの見直し
取引先や仕入れ先にも環境に配慮した取り組みを求める必要があり、これにより取引条件の変更や新たなパートナーの選定が必要になることがあります。
これらの課題を理解し、適切に対応することが、企業がSDGsの目標13に効果的に貢献するための鍵となります。
まとめ
SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」は、地球規模での気候変動問題に対処するための重要な目標です。
企業や個人が協力して具体的な行動を取ることが求められています。企業は再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上、サプライチェーンの見直しなどを通じて、持続可能な社会の実現に貢献できます。個人も日常生活でのエネルギー消費の削減やリサイクルの推進、環境に優しい製品の選択などを心がけることが重要です。気候変動対策は一人ひとりの意識と行動が鍵となります。
私たち全員が協力し、持続可能な未来を築くために努力しましょう。
共に行動することで、気候変動の影響を最小限に抑えることができます。