2024年7月30日
これさえ見ればわかる!健康経営優良法人の申請方法!
健康経営優良法人の申請は認定要件に沿って申請書を作成する必要があります。
また、健康経営優良法人の申請方法は現状電子での申請になっており、申請のスケジュールについても毎年決まっています。
毎年8月中旬から10月中旬までが申請期間で、翌年の3月には認定が完了します。申請期間が決まっているため、その期間に向けて準備を進める必要があります。
目次
1.健康経営優良法人認定制度について
⑴健康経営優良法人とは
健康経営優良法人とは、経済産業省が推進している従業員の健康管理に積極的に取り組む企業に与えられる認定です。
健康診断の実施や健康づくりの取り組み、ストレスチェックの実施など、従業員の健康を維持・向上させるための取り組みが評価されます。
この認定を受けることで、企業の社会的信頼性が向上し、従業員のモチベーション向上や生産性向上、一部自治体では公共調達・公共工事の入札時における加点や、補助金の加点、金融機関・保険会社による優遇制度につながる等のメリットがあります。
⑵健康経営優良法人の対象企業
健康経営優良法人は一般企業のほか、弁護士法人、特定NPO、医療法人、社会福祉法人など、様々な組織において認定可能です。
ただし、申請する際は必ず従業員を1人以上雇用していなければなりません。
経営トップ・代表者等のみの1人法人では申請ができないのでその点はご注意してください。
また、法人格を持たない個人事業主や任意団体も申請ができません。
【健康経営優良法人を認定可能な組織例】
会社法の会社…株式会社、有限会社、合資会社、合同会社など
士業法人…弁護士法人、監査法人、税理士法人、行政書士法人、司法書士法人、社会保険労務士法人など
特定非営利活動法人(特定NPO)
医療法人、社会福祉法人、健保組合等保険者
社団法人、財団法人、商工会議所・商工会
公法人、特殊法人…地方公共団体、独立行政法人、公共組合、公団、公社、事業団など
その他、国内法に基づく法人…保険業法、中小企業等協同組合法、信用金庫法、私立学校法、宗教法人法 等)
⑶健康経営優良法人の申請期間
健康経営優良法人の申請ができる期間は1年に1回しかないため注意が必要です。
毎年おおよそ8月〜10月が申請期間となっています。
2023年申請では、大規模法人部門が2023年8月21日〜2023年10月13日、中小規模法人部門では2023年8月21日〜2023年10月20日と、部門によって少し申請期間が異なります。
⑷健康経営優良法人の認定申請料
健康経営優良法人の認定申請料は2023年度から有料化になり、部門によって料金が異なります。
大規模法人部門では88,000円(税込)、中小規模法人部門では16,500円(税込)です。
⑸健康経営優良法人の有効期間
健康経営優良法人は、一度認定すれば永続的に有効なものではありません。
認定された企業はその有効期限が1年間と定められています。
更新をして効力を維持するためには、再度健康経営優良法人の取り組み状況を評価し、更新申請を行う必要があります。
⑹健康経営優良法人2024の認定状況
2024年度の健康経営優良法人の認定状況は、2023年度は全国合計16,665社、2024年度は全国合計19,721社と前年度に比べて3,056社増加しています。
同じ日本国内の認定であるプライバシーマークが2023年9月30日時点で17,555社と、健康経営優良法人が2024年度で追い抜いております。
多様な業種、規模の企業が認定を受け、その取り組みは従業員の健康増進だけでなく、企業の生産性向上にも寄与しています。
今後さらに増加すると言われていますが、まだまだ今から取り組めば周りの企業とも差別化出来る傾向です。
今後も更なる認定企業数の増加が期待されています。
⑺ブライト500とホワイト500
ブライト500とホワイト500は、健康経営優良法人のなかでもさらに優良と認められた上位500社を対象とした認定です。
中小規模法人部門の上位500社がブライト500、大規模法人部門の上位500社がホワイト500となります。
ブライト500、ホワイト500の認定を目指す場合は、より厳しい認定要件を満たす必要があります。
同業他社が実施していない取り組みや目につくような取り組みを実施する必要があるため、他社の情報収集も必須になります。
2.健康経営優良法人になるメリット・デメリット
健康経営優良法人の認知度は近年上昇しています。
多くの企業が従業員の健康を重視することで、生産性の向上やイメージ向上を図っており、その結果として認知度が高まっています。メディア掲載や政府の推進も認知度アップに寄与しています。
そのため、健康経営優良法人に認定されることでのメリットは多くあります。逆にデメリットになる部分もいくつかあります。
⑴メリット
①企業イメージの向上
健康経営優良法人の認定は、企業が従業員の健康を重視し、そのための取り組みを行っていることの証です。これにより、企業の社会的信頼性が向上し、イメージが強化されます。
②採用での活用
健康経営優良法人の認定を受けている企業は、求職者に対して自社の健康経営への取り組みをアピールすることができます。これにより、優秀な人材を引き寄せることが可能となります。
③入札での加点
公共事業の入札においては、健康経営優良法人の認定を受けている企業に対して加点が行われることがあります。
④補助金の加点
健康経営に関連する補助金申請においても、健康経営優良法人の認定を受けている企業に対して加点が行われることがあります。
⑤保険料の割引
健康経営優良法人の認定を受けている企業は、労働保険料の一部が割引されることがあります。
⑥金利の優遇
一部の金融機関では、健康経営優良法人の認定を受けている企業に対して、融資の金利を優遇することがあります。
⑵デメリット
➀申請手続きに手間と時間がかかる
健康経営優良法人は経済産業省が推進しているため認定を受けるには記載漏れ等無く書類に必要事項を記載して、指定された手続きに則って申請する必要があります。
申請に発生する書類のボリュームがかなり大きいので、場合によってハードルの高さを感じる事があるかもしれません。
しかし、健康経営優良法人のコンサルタント会社等に相談すれば、申請・手続きの際にアドバイスをしてもらえますので、発生する書類作成の手間などは省くことができます。
当社のコンサルタントサービスもぜひご検討ください。
②毎年更新する必要がある
健康経営優良法人の有効期限は、毎年認定発表のある3月の翌年の3月31日までの約1年間です。
つまり、健康経営優良法人の認定を維持するためには毎年申請して認定を更新していく必要があります。
また更新の際も申請書の作成が必要で前年度と同じ内容で申請を出すことは好ましくないです。
前年度と比べてどこが改善されたのか、どこが課題として上がってきたのか等を踏まえて申請することを推奨されています。
3.健康経営優良法人の認定要件
次に、健康経営優良法人の認定要件を紹介します。
認定要件は中小規模法人部門と大規模法人部門で内容が異なり、満たすべき項目数も異なります。
大規模法人部門のほうが満たすべき項目数が多いなど難しく設定されています。
詳しくは、下記サイトをご覧ください。
外部サイト:ACTION!健康経営|健康経営銘柄2024選定基準及び健康経営優良法人2024(大規模法人部門)(pdf)
4.申請の流れ7ステップ
健康経営優良法人の申請の流れは大きく分けて7ステップあります。
中でも一番手間のかかるステップはエビデンス資料の作成、申請書の作成になります。自社のみで申請を進めようとすると期間は約1年ほどかかることになります。
⑴「健康宣言」に参加する
健康経営優良法人の申請はいきなりスタートできるわけではなく、会社が加入している協会けんぽなどの医療保険者が実施している「健康宣言」に参加する事が必須になっています。
健康宣言とは、健康経営に取り組むことを明文化して意思表示することです。健康宣言の申込書を加入している保険者に提出することから、活動がスタートします。
また協会けんぽの場合、支部によっては健康宣言に申し込むだけでなく、活動後に支部が所定する認定を受けないと、健康経営優良法人への申請ができない場合があります。
例えば、協会けんぽの東京支部では健康宣言への申し込みをしたあと、実際に申込用紙に記載した内容を6ヶ月以上取り組みを実施したのちに実施結果レポートを提出し、「健康優良企業」の認定証を受けないと健康経営優良法人に申請することができません。
⑵自社の現状把握をする
「健康宣言」の申し込みが終われば、認定要件に沿って自社の現状把握をすることが必要です。
現状出来ていること、出来ていないことを把握することで申請するためには何を実施しないといけないのかが明確になります。
既に実施している取り組みはそのまま申請に活用する、現状実施できていない取り組みについては今後どうするかの計画を立てるために現状把握を行う必要があります。
人事労務について現状把握を改めてする機会などほとんどないという会社が多いですが、この認定を進めることをきっかけに改めて自社の活動について「こんな事やっていたんだ」や「ここを改善しないといけないのか」などの新たな気づきのいいきっかけになることは間違いないです。
⑶取り組みの計画を立てる
現状把握をし、現状実施できていない項目が分かれば今後実施していくための計画を立てます。
今の取り組み内容を改善する、新たなルールを導入する、新たな制度を作成するなど様々な計画があります。
健康経営優良法人のためだけの活動にならないようどの計画が自社にとって一番ベストなのかを考えたうえで計画することをおすすめします。
⑷エビデンス資料の作成・保管
取り組みの現状、計画が終われば次にエビデンス資料の作成です。
まずは申請書の中に記載されている「保存すべき資料」を元に現時点で資料のあるか無いかの現状を把握します。
「保存すべき資料」を元に、現状あるものはそのままエビデンス資料として活用するのがおすすめです。無いものについては新たにエビデンス資料を「保存すべき資料」元に作成する必要があります。
エビデンス資料については全項目に対して作成・保管する必要はありません。実際に申請書へ取り組んでいると記載する項目のみエビデンス資料が必要です。
保管期間は申請要件で2年間と定められています。
保管の形式は決められておらず、電子でも紙でも問題ありません。
⑸評価・改善
今年度の取り組みを振り返り、自社の強みや逆に改善点を洗い出し、来年度の運用に活用しましょう。
評価をすることで来年度の運用の方向性を決めることができます。
⑹申請書の作成
申請書の作成については、後述する「5.健康経営優良法人の申請書作成」をご覧ください。
⑺申請の手続きへ
申請期間である8〜10月に日本経済新聞社の健康経営優良法人の申請についてのページから登録をおこない、新規申請用のIDを発行します。
その後、健康経営優良法人申請の専用サイトにログインし、認定申請書をダウンロードします。
自社の取り組み状況を申請書へ記入し、ファイルをアップロードすれば完了です。
5.健康経営優良法人の申請書作成
⑴「ACTION!健康経営」ページにアクセス
まずは下記URLの「ACTION!健康経営」にアクセスしてください。
https://kenko-keiei.jp/
ここでは申請の手続き以外にも認定企業の一覧や各都道府県でのメリットの内容、セミナーの案内など健康経営優良法人に関わる公式な情報が発信されるポータルサイトです。
健康経営優良法人の認定を検討している企業は、ブックマークに保存して随時確認を習慣化することをおすすめします。
⑵新規IDを入手 (発行手続き)
「ACTION!健康経営」のページ内に「新規ID発行サイト」のボタンがありますのでそこに入ります。
法人名やメールアドレスの登録をしていただく必要があります。登録すると登録メールアドレス宛に専用サイトのURL、ID、パスワードを記載した電子メールが届きます。
こちらに届いたIDとパスワードは申請書のダウンロードやアップロードの際に必要になりますので紛失しないよう保管しておいてください。
⑶申請書のダウンロード
先ほどの登録メールアドレス宛に届いた専用サイトのURLを開き、IDとパスワードを入力すると申請書がダウンロードできます。
1点注意していただきたいのは、他社がダウンロードした申請書や別のサイト上から保存した申請書ではアップロードした際に受理されない場合があることです。
必ず自社で登録し、そこから申請書をダウンロードするようにしてください。
⑷申請書の記入
申請書のダウンロードが終われば実際に申請書へ記入していきます。
ここが一番手間と時間がかかる工程です。
健康経営優良法人2024で見ると、中小規模法人部門でA4サイズで38ページ、大規模法人部門ではA4サイズで58ページのボリュームがあります。
申請書の中では、取り組み実施が必須になっている項目や回答が必須になっている項目、2つ選択肢がありどちらかは必ず満たさないといけない項目など様々な項目があります。
認定要件を十分に確認した上で申請書を確認し、全て記入した後は一度現状の記入内容で不認定の該当になっていないかの確認をすることをおすすめします。
⑸申請書のアップロード
申請書の記入が終われば最後にアップロードの手続きに入ります。申請書をダウンロードしたURLに入り、アップロードをします。
アップロードする際は申請期間が過ぎてしまわないようご注意ください。過ぎてしまうと受理できないということになります。
アップロードを一度した後でも締切日までは何度でもアップロードが可能です。最後にアップロードされたファイルを申請書として受け付けてもらえます。
また、アップロード完了後は画面に「受付完了」と表示されますが、アップロード後にメールや電話等で受付完了の連絡はありません。ファイルの受領確認メールは、ご担当者メールアドレス宛に届きます。
受領確認メールが届いた後は翌年3月の認定発表を待ちます。
6.手間なく認定の秘訣
健康経営優良法人の認定を目指す際、申請に必要な書類の準備は非常に手間がかかります。
しかし、当社のコンサルティングサポートを利用すれば、その手間を大幅に削減することができます。
当社コンサルタントが申請に必要な情報収集から書類作成までを一貫してサポートします。これにより本業に集中しながらスムーズに認定することができます。
手間をかけずに健康経営優良法人の認定を目指したい企業にとって当社のサポートは最適な解決策となります。
7.まとめ
健康経営優良法人の申請は申請期間と認定完了時期が毎年決まっているためそこから逆算して準備をする必要があります。
そのためにはまず自社の現状把握することから始めると申請までスムーズに進めることができます。
また、現状把握したうえで認定要件に沿って申請書などの申請に発生する資料を作成する必要がありますので、申請期間から逆算し申請までのスケジュールを立てることで更にスムーズに進めることが可能となります。
健康経営優良法人を認定すると、企業イメージ向上や採用での活用、入札での加点、金銭面での優遇など様々なメリットがありますので是非認定に向けて計画的に進めてみてください。