株式会社スリーエーコンサルティング

2024年10月24日

健康経営優良法人の大規模法人部門を徹底解説!

健康経営優良法人の大規模法人部門とは業種と従業員数で条件が決められています。
また健康経営優良法人の大規模法人部門は中小規模法人部門と認定要件が違い、満たすべき項目の数なども違います。
取り組み出す前にまずは自社がどちらの部門に当てはまるかチェックをしてから動き出しましょう。

1.健康経営優良法人認定制度とは



⑴健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人とは、経済産業省が推進している従業員の健康管理に積極的に取り組む企業に与えられる認定です。健康診断の実施や健康づくりの取り組み、ストレスチェックの実施など、従業員の健康を維持・向上させるための取り組みが評価されます。

⑵認定されるメリット

この認定を受けることで、企業の社会的信頼性が向上し、従業員のモチベーション向上や生産性向上、一部自治体では公共調達・公共工事の入札時における加点や、補助金の加点、金融機関・保険会社による優遇制度につながる等のメリットがあります。

⑶認定のスケジュール

健康経営優良法人は毎年申請書を提出できる申請期間が決められています。

申請期間は毎年8月~10月となっています。

また、認定完了の時期も翌年3月と毎年決まっています。

申請期間と認定完了の時期から逆算をし、計画的に進めることをお勧めします。

具体的なスケジュールは下記の図の通りです。

 

外部サイト:ACTION!健康経営 より引用

2.健康経営優良法人認定には2つの部門がある

健康経営優良法人認定には、企業の規模によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つの部門があります。

⑴大規模法人部門

以下の条件が大規模法人部門となります。

【「会社法上の会社等」または「士業法人」の場合】

卸売業:従業員数が101人以上、資本金または出資金額が1億円以上

小売業:従業員数が51人以上、資本金または出資金額が5000万円以上

サービス業:従業員数が101人以上、資本金または出資金額が5000万円以上

製造業その他:従業員数が301人以上、資本金または出資金額が3億円以上

 

【「会社法上の会社等」または「士業法人」以外の場合】

特定非営利活動法人:従業員数が101人以上

医療法人、社会福祉法人、健保組合等保険者:101人以上

社団法人、財団法人、商工会議所・商工会:101人以上

公法人、特殊法人(地方公共団体、独立行政法人、公共組合、公団、公社、事業団等):301人以上

 

【その他、国内法(保険業法、中小企業等協同組合法、信用金庫法、私立学校法、宗教法人法 等)に基づく法人の場合】

卸売業:従業員数が101人以上

小売業:従業員数が51人以上

サービス業:従業員数が101人以上

製造業その他:従業員数が301人以上

⑵中小規模法人部門

以下の条件が中小規模法人部門です。

【「会社法上の会社等」または「士業法人」の場合】

卸売業:従業員数が1名以上100人以下、資本金または出資金額が1億円以下

小売業:従業員数が1人以上50人以下、資本金または出資金額が5000万円以下

サービス業:従業員数が1人以上100人以下、資本金または出資金額が5000万円以下

製造業その他:従業員数が1人以上300人以下、資本金または出資金額が3億円以上

 

【「会社法上の会社等」または「士業法人」以外の場合】

特定非営利活動法人:従業員数が1名以上100人以下

医療法人、社会福祉法人、健保組合等保険者:従業員数が1名以上100人以下

社団法人、財団法人、商工会議所・商工会 :従業員数が1名以上100人以下

公法人、特殊法人(地方公共団体、独立行政法人、公共組合、公団、公社、事業団等):従業員数が1名以上300人以下

 

【その他、国内法(保険業法、中小企業等協同組合法、信用金庫法、私立学校法、宗教法人法 等)に基づく法人の場合】

卸売業:従業員数が1名以上100人以下

小売業:従業員数が1人以上50人以下

サービス業:従業員数が1名以上100人以下

製造業その他:従業員数が1名以上300人以下

3.ホワイト500・ブライト500とは

⑴ホワイト500

ホワイト500とは大規模法人部門の上位500社に付加され、大規模法人部門の中でもより優れた取り組みを実施している企業に与えられる称号です。

ただ、ブライト500同様ホワイト500の基準も明確にされていないため、他社の取り組みなども見比べながらよりよい取り組みや活動を取り入れていく必要があります。

こちらは認定企業発表後にその年の健康度調査フィードバックシートというものが公表され、そこにホワイト500を与えられた企業の取り組み偏差値や具体的な活動内容が記載されているので、参考にしながら進め、目指すことも可能です。

また健康経営銘柄というものもあり、東京証券取引所の上場企業の中から、健康経営に関する取り組みが特に優れた企業が選定されます。

「健康経営銘柄」として選定されることで長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に対して、魅力ある企業としてアピールすることができます

⑵ブライト500

ブライト500とは中小規模法人部門の上位500社に付加され、中小規模法人部門の中でも優れた取り組みを実施している企業に与えられる称号です。

ただ、ブライト500の基準は明確にされていないため、他社の取り組みなども見比べながらよりよい取り組みや活動を取り入れていく必要があります。

4.健康経営優良法人(大規模法人部門)の概要

健康経営優良法人の大規模法人部門を認定するためには下記の認定要件を満たす必要があります。

その中で「①~⑯のうち13項目以上」という基準も設けられています。

詳しくはこの後各項目について解説させていただきます。

※健康経営優良法人2024の認定要件をもとに記載しています

5.健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定要件

  1. 健康経営の方針等の社内外への発信
    この項目は必須項目になっています。中でも方針、推進目的、推進体制は社外への開示が必須となっています。開示方法は様々ですが、一部の例は下記となります。
    例:有価証券報告書、自社サイト、アニュアルレポート
  2. 従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示
    アブセンティーズム、プレゼンティーズム、ワーク・エンゲイジメントの3つの項目に対して実績値を開示することが求められます。
  3. トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること
    取引先へ健康経営に取り組むことを推奨しているかどうかが問われています。
  4. 健康づくり責任者が役員以上
    この項目も必須項目となっています。健康経営を推進する上で最高責任者を役員以上で選定することを求められています。
  5. 産業医・保健師の関与
    この項目も必須項目となっています。産業医や保健師との関与、連携が求められています。
  6. 健保組合等保険者との協議・連携
    この項目も必須項目となっています。健保組合等の保険者と協議や連携をし、健康診断のデータ提供などを実施しているかどうか問われています。
  7. 健康経営の具体的な推進計画
    この項目も必須項目となっています。健康経営を取り組むうえで具体的な数値目標を立てる必要があります。下記の項目をもとに現状を洗い出し計画することが必要です。
    ・課題、数値目標、達成期限、推進計画
  8. 従業員の健康診断の実施(受診率100%)
    健康診断受診率100%が求められています。必ず全従業員に年に1回健康診断を受診していただきましょう。
  9. 受診勧奨の取り組み
    健康診断の結果、再検査や精密検査といった結果が出た場合会社として推奨している取り組みはあるかどうかを問われています。
  10. 50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
    50人未満の事業所でもストレスチェックを実施しているかどうかが問われています。
  11. 管理職又は従業員に対する教育機会の設定
    健康経営やヘルスケアに関して教育をする機会があるかどうかが問われています。
  12. 適切な働き方の実現及び育児・介護の両立支援の取り組み
    ライフワークバランスについて会社として取り組んでいることを問われています。
  13. コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み
    社内のコミュニケーションについてや社内イベントの開催について問われています。
  14. 私病等に関する復職・両立支援の取り組み(⑭以外)
    私病での通院や休職などからの復職に対して会社として支援している活動があるかを問われています。
  15. 保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
    健康診断の結果、保険指導の通知が届いた際に指導を受けるよう会社として促しているかを問われています。
  16. 食生活の改善に向けた取り組み
    食生活に関して従業員に向けて会社が取り組んでいることがあるかを問われています。
  17. 運動機会の増進に向けた取り組み
    会社として従業員に向けて運動の場や機会を提供しているかどうかを問われています。
  18. 女性の健康保持・増進に向けた取り組み
    女性特有の健康問題や健康課題に関して研修や制度があるかどうかを問われています。
  19. 長時間労働者への対応に関する取り組み
    長時間労働者に当てはまった従業員に対しての対処や対応またはそうならないための予防策などを問われています。
  20. メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み
    メンタルヘルスに関しての社内の取り組みや制度があるか、またはメンタルヘルス不調者に対しての対応や対処をしているかを問われています。
  21. 感染症予防に関する取組
    コロナウイルスやインフルエンザに対して予防活動をしているか問われています。
  22. 喫煙率低下に向けた取り組み
    喫煙率低下のために取り組んでいることがあるか問われています。
  23. 受動喫煙対策に関する取り組み
    受動喫煙の対策ができているか問われています。
  24. 健康経営の実施についての効果検証
    健康経営に関する取り組みを振り返り、効果検証することを求められています。
  25. 法令遵守・リスクマネジメント
    定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないことを求められています。

6.まとめ

健康経営優良法人大規模法人部門の認定基準は、中小規模法人部門と比較し、より多くの項目を満たすことが求められ、認定取得に向けた取り組みは高度なものが求められます。

しかしながら、申請期間を考慮し、計画性を持って取り組みを進めることで、着実に目標達成へと繋げることが可能です。

まずは自社の現状を正確に把握し、そこから具体的な計画を立てていきましょう。

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