株式会社スリーエーコンサルティング

2025年4月16日

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とは?企業の取り組み事例も紹介

1.SDGsとは?

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。

国連に加盟する全193か国が達成を目指す国際目標のことです。

経済、社会、環境の3つの側面にまたがって持続可能な社会の実現を目指しており、「誰ひとり取り残さない」を基本理念に、17の目標と169のターゲットから構成されています。

2.SDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」を簡単に解説

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」は、誰もが安心して暮らせる、持続可能で快適なまちを作ることを目指しています。

具体的には、以下のような課題を解決することを目指しています。

  1. 安全で安心な住まい:すべての人が安全で適切な住まいを持てるようにすること。
  2. 交通の便利さ:公共交通機関を充実させ、誰でも簡単に移動できるようにすること。
  3. 環境にやさしいまち:緑地や公園を増やし、空気や水をきれいに保つこと。
  4. 災害に強いまち:地震や洪水などの災害に強いインフラを整備すること。
  5. 文化と歴史の保護:地域の文化や歴史を大切にし、次の世代に伝えること。

これらを実現することで、すべての人が快適に暮らせるまちを作ることを目指しています。

そして、この「住み続けられるまちづくりを」という目標には、7つのターゲットとAからCまでの具体的な対策が3つ設定されています。

11.1  2030年までに、すべての人々が適切かつ安全で安価な住宅と基本的サービスにアクセスできるようにし、スラム街を改善する。

11.2  2030年までに、公共交通機関の拡大などにより道路の安全性を改善し、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者のニーズに特に配慮し、すべての人々に安全で安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

11.3  2030年までに、すべての国々において包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、参加型、統合的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

11.4 世界の文化遺産と自然遺産の保護と保全に向けた取り組みを強化する

11.5  2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々の保護に重点を置き、水関連災害を含む災害による死者数や被災者数を大幅に削減し、世界全体の国内総生産比での直接的な経済損失を大幅に減らす。

11.6  2030年までに、大気の質や一般廃棄物等の管理に特別な配慮を払うなどして、都市の一人当たりの環境への悪影響を軽減する。

11.7  2030年までに、女性、子ども、高齢者、障害者などに対して、安全で包摂的かつ利用しやすい緑地や公共スペースへの普遍的なアクセスを提供する。

11.A 国と地域の開発計画を強化し、都市部、都市周辺部、農村部の間の経済、社会、環境面での良好なつながりを支援する。

11.B  2020年までに、包摂、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱性に向けた総合的な政策と計画を導入・実施している都市と人間居住地の数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理を策定・実施する。

11.C 後発開発途上国に対し、資金援助や技術支援などを通じて、地元の資材を活用した持続可能で強靭な建築物の建設を支援する。

引用:国連公式サイト

3.SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」における日本の課題とは?

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に関する日本の課題に対して、政府や自治体、企業、そして市民が協力して取り組むことが重要です。

日本の主な課題として、以下の点が挙げられます。

(1)高齢化社会への対応

日本は急速に高齢化が進んでおり、高齢者が安心して暮らせる住環境や公共サービスの整備が求められています。

(2)災害対策の強化

地震や台風などの自然災害が頻発する日本では、災害に強いインフラの整備や防災教育の充実が重要です。

(3)都市の過密化と過疎化

都市部の過密化による住環境の悪化と、地方の過疎化による地域活力の低下が課題となっています。

バランスの取れた地域開発が必要です。

(4)交通インフラの整備

公共交通機関の利便性向上や、バリアフリー化の推進が求められています。

特に地方では交通手段の確保が重要です。

(5)持続可能な都市環境の実現

都市の緑地保全および環境に配慮したまちづくりが求められています。

4.どのような企業が対象となるのか?

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」は、都市の持続可能性を高めるために多くの分野が協力し合うことが求められており、あらゆる企業がその一翼を担うことが可能です。

それぞれの業界特有の技術や知識を活かして、持続可能なまちづくりに貢献することができます。

いくつかの業種を取り上げ、どのような面で関わりがあるかを説明します。

(1)建設業

建設業は、持続可能なインフラの整備や耐震性のある建物の建設などを通じて、住み続けられるまちづくりに直接貢献することができます。

(2)製造業

製造業はエネルギーを多く消費するため、エネルギー効率の向上を図ることで、都市のエネルギー消費を削減し、持続可能なまちづくりに貢献することができます。

(3)IT・通信業

スマートシティ技術の導入やデジタルインフラの整備を通じて、都市の効率性と住みやすさを向上させることができます。

(4)不動産業

不動産業は、持続可能な住宅供給や都市計画に関与し、住みやすい環境を提供する役割を担っています。

(5)廃棄物管理業者

効率的な廃棄物管理やリサイクルシステムの構築を通じて、都市の環境負荷を軽減し、持続可能なまちづくりに貢献することができます。

5.企業の具体的な取り組み事例7選

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に関連する取り組みは、企業の規模や業種に関わらず実施可能であり、持続可能なまちづくりに貢献することができます。

企業ができる具体的な取り組み事例を以下に紹介します。

(1)エネルギー効率の向上

  • 企業のオフィスや工場でエネルギー効率の高い設備を導入し、エネルギー消費を削減する。
  • 省エネ型の照明や空調システムを導入する。

(2)持続可能な交通手段の推進

  • 社員の通勤に公共交通機関や自転車の利用を奨励する。
  • 企業の車両を電気自動車やハイブリッド車に切り替える。

(3)廃棄物の削減とリサイクル

  • 企業内での廃棄物を分別し、リサイクルを徹底する。
  • リサイクル可能な素材を使用した製品の開発や製造を行う。

(4)地域社会との連携

  • 地域の清掃活動や緑化活動に参加する。
  • 地域のイベントやプロジェクトに協賛し、地域社会の発展に貢献する。

(5)持続可能な建築物の導入

  • 新しいオフィスや工場を建設する際に、環境に配慮した設計を採用する。
  • 車椅子対応のスロープやエレベーターの設置などのバリアフリーを施し、すべての人々が利用しやすいように設計する。

(6)従業員の教育と啓発

  • SDGsや持続可能なまちづくりに関する研修やセミナーを開催し、従業員の意識を高める。
  • 社内でのエコ活動を推進し、従業員の参加を促す。

(7)デジタル技術の活用

  • スマートシティ技術を活用し、都市の効率的な運営を支援する。
  • IoTやビッグデータを活用して、エネルギー消費や交通の最適化を図る。

6.私たちにもできる身近な取り組み事例7選

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に関連して、私たち一人ひとりが日常生活で実践できる取り組みもあります。

私たちにもできる身近な取り組み事例を紹介します。

(1)ごみの分別とリサイクル

家庭や職場でのごみの分別やリサイクル活動に参加しましょう。

リサイクル可能な資源を再利用することで、廃棄物の削減に貢献できます。

(2)エネルギーの節約

節電や省エネの取り組みを行い、エネルギーの無駄を減らしましょう。

例えば、不要な電化製品のスタンバイを避けたり、LED電球の使用に切り替えたりすることが挙げられます。

(3)公共交通機関の利用

自家用車の利用を減らし、公共交通機関や自転車を積極的に利用することで、交通量の削減と大気汚染の軽減につながります。

(4)地域清掃活動への参加

地域の清掃活動や環境美化活動に参加し、美しいまちづくりに貢献しましょう。

(5)持続可能な商品の選択

環境に配慮した商品やパッケージを選ぶことで、環境負荷を軽減することができます。

(6)地域の緑化活動

植樹や公園の清掃など、地域の緑化活動に参加して、豊かな自然環境を守りましょう。

(7)環境に配慮した食事

地産地消や食品ロスの削減など、環境に配慮した食事を心がけることで、持続可能なまちづくりに貢献できます。

7.企業がSDGsの目標11「住み続けられるまちづくり」に取り組む上での課題

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に企業が取り組む際の課題をわかりやすく説明します。

これらの課題に取り組むことで、企業はより効果的な持続可能なまちづくりに貢献することができます。

(1)環境負荷の軽減

排気ガスや廃棄物の適切な処理、再利用可能な資源の活用など、環境への影響を最小限に抑える取り組みが求められます。

(2)地域社会との連携

まちづくりにおいては、地域社会との連携が不可欠ですが、地域の特性やニーズを理解し、地域住民との協働を進めることは容易ではありません。企業は地域社会とのパートナーシップを築くための課題に直面します。

(3)コストと効率の両立

持続可能な取り組みを進める中で、コスト負担を抑えつつ、効率的な運営を実現する方法を見つけることが課題となります。

まとめ

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、持続可能で包摂的な都市と人間居住を実現することを目指しています。企業はこの目標に向けて、持続可能な建築物の導入やバリアフリーの推進、再生可能エネルギーの利用などで貢献できます。

また、地域社会との連携を強化し、災害に強いインフラの整備やコミュニティの活性化にも取り組むことが重要です。

これにより、企業は社会的責任を果たしつつ、地域の信頼を得ることができます。

さらに、持続可能なまちづくりは企業のブランド価値向上にもつながり、ブランド価値が高まることで、お客様からの信頼が深まり、リピーターが増えるだけでなく、新しいお客様も増えます。また、企業の取り組みが評価されることで、投資家からの注目や支持も得られるようになります。

今後も企業は、SDGs目標11に向けた具体的な取り組みを進めることで、持続可能な社会の実現に貢献していくことが求められます。

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